AkisaMiyona’s Blog

ネコさんと暮らすDIYer、アキサ ミヨナのブログ

桜もち考

桜もちについて調べていくと、小麦で作った皮をあんに巻く桜もちには2種類あることが分かった。

ひとつは、白玉粉を水で溶き、砂糖と卵白を入れてよく混ぜ、小麦粉を加えて手早くこねたのちに水で溶きのばして鉄板で焼くもの。もうひとつは砂糖に小麦粉をふるい入れ、水を加えて溶きのばし、鉄板で焼くもの。

山本新六は「柏餅のように糯米で製した(『食べ物語源辞典』)」が、のちに葛粉で作ったとのこと。昨日までは、300年前の桜もちと現在の桜もちはほぼ同じではないかと考えていたが、まるで違うようだ。新六バージョンは「ほぼ現在の柏餅。皮が柏葉じゃなく桜葉」ということなのだろう。当時、小麦粉は使われていなかったのだ。小麦粉が使われるようになるのはいつからだろう。戦後ということもあり得るだろうか。

葛粉で作る桜もちは江戸時代全国にあったようで、『浪華百事談』には「冬春はかたくりの粉の水にてときし物を薄く焼き、中に白小豆の餡を入れて包み、その上を桜の葉にて挟み、夏秋には吉野葛にて……」とある。

暑い季節と寒い季節で澱粉を変えるところが興味深い。寒い季節にはかたくり粉で作るほうが良いのはどうしてだろう。寒くても硬くなりすぎないといった特徴があるのだろうか。

現在ではかたくり粉といえばじゃがいも澱粉であり、かたくりの根からとる本物のかたくり粉は一般人には入手できない。当時はそこらじゅうにかたくりが自生していて、その根から手間暇かけて澱粉を取ることが生業として成り立っていたということなのだろう。

吉野葛なら手に入るから、再現して作ってみようか。「吉野葛」の名で売られていても、中身の半分は甘藷澱粉という「ブレンド葛」が多いから気を付けて買わなければならない。

沖縄の家庭菓子に、甘藷澱粉を水でこねて揚げたものがある。たしか砂糖を加えないレシピであった。王朝があった古き良き時代に、訪ねてきた客人の顔を見てからこね始め、揚げたてを供した菓子だそうだ。

私は、吉野葛、甘藷澱粉、かたくり粉といった澱粉類に縁遠く、日常的にはじゃがいも澱粉である片栗粉を料理に使うのみである。昔、風邪の時に飲まされた「葛湯」はとてつもなく甘いだけであまり美味しいとは思えなかった。しかし澱粉をきちんと使いこなすことができたら、とても美味しい菓子ができるに違いない。

しばし澱粉と向き合ってみよう。