長命寺桜もちを買いに行く・前編
私は北海道生まれですが、桜もちといえば粒々したもち米にあんこが包まれているものと思っていました。いわゆる道明寺です。
北海道は東日本か西日本かといえば西ではないわけで、まあ東日本ということになろうかと思います。「桜もちには関東風と関西風がある」と聞いた時には、関東風がもち粒々タイプ=道明寺と考えて疑いませんでした。
ところが、道明寺は関西風なのですね。関東風というのは水で溶いた小麦粉を低温で焼いたクレープ状の皮であんこを包んだもの。
なぜ北海道の桜もちは関東風ではなく関西風なのでしょう。いや全国的に桜もち=道明寺地域が広いということではないか? 関東風はもしかすると東京限定あるいは特定のお店限定ということはないだろうか……などと桜もちに関する謎は深まるばかりです。
関東風桜もちはクレープ状の皮であんこを包んだものと知ってからも、食べようと思ったことはありませんでした。クレープなら卵や砂糖や牛乳が入っているから美味しそうだけど、小麦粉だけ? 美味しそうに思えなかったのです。スーパーで見かけるピンク色の関東風桜もちに「食べたい!」という気持ちを抱いたことがありませんでした。
そもそも和菓子にほとんど興味がなかったということもあります。とにかくあんこが苦手でおまんじゅうは皮だけ食べてあんこを残すようなイヤな子供でした。
しかし先日「300年も関東風の桜もちだけを作り続けている店がある」ことを知り、「それは一刻も早く食べなければ」と買いに行った次第。結果、人生で初めて和菓子にはまってしまいそうな予感がしております。
私たちの食生活の中に、300年前に食べていたものがあるでしょうか? 寿司や蕎麦なら300年前にもあったのでは?と思い、調べてみると、我々が食べている寿司に近いものができたのは19世紀に入ってから。蕎麦は「蕎麦切り」という麵状のものはありましたが、つゆはしょうゆと酒と水を煮たもの。現在は甘みのないめんつゆなど考えられませんが、当時のつゆは「しょうゆ味の水」みたいなものだったわけです。
このように、同じ名前の料理でも時代が違えば味も違うのが普通でありますが、お菓子はどうでしょう? 同じ原材料を使って同じ配合で作られている可能性がかなり高いと思うのですが、どうでしょう? 原料の小麦そのもの、小豆そのものの味は多少違ってきてはいるでしょうが、完成したお菓子の味はかなり近いのではないでしょうか。
料理であれば、時代が下るとともに砂糖の量が増えていくのが普通かと思いますが、菓子はどうなのでしょう。砂糖は高価だったでしょうから、やはり甘みは現代のものよりも薄かったのでしょうか。いずれ調べてみたいと思います。
ということで向島にGo!
東武線の曳舟駅で下車、Googleマップを頼りに、そろそろ到着かというあたりでこんなものが。
道は間違っていなかったみたいですね。お店はすぐそこのようです。
こんな案内板もあり
ピンク色の大島桜が咲き
寒緋桜が満開。
と桜の写真を撮っていたら、桜の後ろにお店があるではないですか。
シンプルな看板。「3月は予約していったほうがいい」とか「長蛇の列」とかいうレビューを見ていたので9時に行ってみました。大正解。すぐに買えました。
続きは明日。